『北朝鮮からの生還 ある10歳の少年の引き揚げ記録』

久木村久 著
光人社NF文庫
ISBN978-4-7698-2768-9
第二次世界大戦敗戦後に38度線以北のソ連支配地域から引き揚げてきた著者の記録。
断固戦争反対みたいなまえがきとあとがきがちょっとうざいが、後は普通の引き揚げ記録か。普通であり、特別ということもないが、読んでみたければ、という本だと思う。
引き揚げ記録なんかはいくらでもあるだろうし、北朝鮮からのというのがちょっと珍しいくらいで特別な内容もないが、もちろん大変な経験ではあるし、短くてさらっと読めるので、悪いとまではいえない。
北朝鮮の大地はいつまで無辜の人間の血を吸いつづけるのかと最後に書かれても、向こうからすれば勝手に来て勝手に死んだだけだと思うが、そういうのも含めて、異常な体験をした者の本音ではあるのだろう。
興味があるならば読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
豊橋に住んでいて空襲が酷くなったとき、コックリさんで占って軍医として招集された父のいる朝鮮に渡ることにした。