『銀行員のキミョーな世界 なぜ行内事情を押しつけるのか』

津田倫男 著
中公新書ラクレ
ISBN978-4-12-150412-8
元銀行員が銀行員の生態について書いた読み物。
特別ではないが、では悪いかというと、悪いほどでもないという本か。
興味があるなら読んでみても、というところだが、無理に読むほどでもない。
本書について書こうとすると、○○ではない、という否定にばかりなってしまって、強い売りはないような気がした。まじめには書かれているのだろうが。
内情暴露というほど内情があるわけではないし、ブログ系読み物というほどまったりともしていないし、批判本というほどけなしているわけでもないし、銀行員の生態を面白おかしく描いたものでもない。
悪くはないが、特別によくもない。
それでもよければ、という本だろう。

以下メモ。
・銀行員の仕事に特殊で難しいものはあまりなく、銀行間に差がつきにくい。
営業成績もまたしかりで、多くの成績優秀者は予め見込まれた者が成績を上げやすいポジションに置かれて作られる。
金利手数料で稼ぐ銀行は損失を出すと埋めるためには大きな売上を必要とする。失敗に厳しいのはそのせいである。
・銀行員は一週間ほどの休暇を強制的に取らされる。不正をしていると、その間にばれる。
・著者のいた銀行では、勘定を合わせるとき、足りない場合より増えている場合の方が大変だったそうだ。増えているということは銀行に損はないわけで、こういう銀行なら、まあ大丈夫なんじゃないだろうか、と個人的には思った。