『その数字が戦略を決める』

イアン・エアーズ 著/山形浩生
文春新書
ISBN978-4-16-765170-1
データ分析に基づく意思決定について書かれた本。
基本的には推進派の立場から、様々な事例などが紹介されたもので、中身はありがちな海外ノンフィクション。山形訳らしく訳文は読みやすいので、そうしたもので良ければ、読んでみても良い本だと思う。
良い点としては、訳文は読みやすく(アインドホーヴェン(Eindhoven→アイントホーフェン)、ディズラエリ(Disraeli→ディズレーリ)みたいな部分もあるが。ディズレーリを知らないのか、ディズラエリが正しいという主張なのか、それとも学生にでも訳させたのだろうか)、内容も割と興味深い。
欠点としては、海外ノンフィクションは大概そうだが、無駄に長い。この程度の内容なら、文庫200ページでなんとかなるところだと思う。脚注を含めて450ページあるわけで、どこがというのでもないが、要するに半分は無駄だろう。
個人的には、ここまで無駄に長いとちょっとどうかなという気がした。
長いのが好きだという人向き。
それでも良ければ、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・データは、過去のものを分析するだけでなく、無作為抽出によって作ることもできる。グーグルに広告を出せば、どんなタイトルの本がクリックされやすいか分かる。
・データの分析には、回帰分析だけでなく、ニューラルネットワークを使った分析もある。ニューラルネットワークは、柔軟で細やかな分析が可能だが、個々の要素の重み付けやその信頼区間は教えてくれない。
・こうした分析をしている企業から良い待遇を受けるということは、その人が良いカモであることを示しているだけかもしれない。
・少数人種のタクシー運転手は白人のタクシー運転手に比べてもらえるチップが少ない。バスケの試合では、人種が同じ審判からだと受けるファールが少ない。