ヨーロッパにおいては、

ソ連ベルリンの壁の崩壊後、共産主義に対する幻滅が広がり、日本共産党のように共産党を冠する政党名はほとんどなくなったという。そこで、日本においては、日本共産党は何故日本共産党のままなのか、という問題がただちに出てくる訳だが、その理由について、少なくとも一端は、日本においては、同時期にバブル崩壊が起こったから、ではないだろうか。
80年代において、共産主義経済体制に対する憧憬を持つ者は、日本の経済体制に対して反発を持っていただろう。日本の経済体制を肯定する者が異なる経済体制に憧憬を持つ理由はない。そのような状況で、ソ連崩壊とバブル崩壊が同時に起これば、どうなるか。
ソ連崩壊は確かに共産主義経済体制に対する否定をもたらすだろうが、バブル崩壊はその人が持っていた日本の経済体制に対する反発を肯定するものであり、前者の否定は後者の肯定によって相殺されるであろう。
それ故に、日本においては共産主義に対する幻滅が広がらなかったのではないだろうか。