『正倉院ガラスは何を語るか 白琉璃碗に古代世界が見える』

由水常雄 著
中公新書
ISBN978-4-12-102025-3
正倉院にあるガラス器に関して雑多に書かれた本。
類品の出土分布や、復元品の作成方法や、これらの品々が正倉院に入った過程等に関して、かなりまとまりなく、手広くばらばらに書かれた雑文集。これでも一冊の読み物といえば読み物なのかもしれないが、余りにまとまりがないので、良い本だとはいえないと思う。
著者が本書で何をいいたかったのか、本書のスコープが、私には分からなかった。正倉院のガラス器の伝世については、実際のところ殆ど分からないとしか書かれていないので、詳細な議論は期待できない。
雑多な読み物と割り切るなら、一つの読み物かもしれないので、それで良ければ、というところか。
特に薦めるほどではないだろう。