『ヤクザが店にやってきた 暴力団と闘う飲食店オーナーの奮闘記』

宮本照夫 著
新潮文庫
ISBN978-4-10-128471-2
暴力団とのかかわりを一貫して断ってきた水商売経営者の体験エッセイ。
中身は、かなりまとまりなく書き散らかしたエッセイ集で、暴力団との渡り合い方を知りたいとか、特にこれとった目的を持って手に取るような本ではない。
70年代80年代くらいの、暴力団とのかかわりを断ってきた水商売経営者による自伝的体験エッセイで良ければ、というもの。
貴重な体験ではあるのだろうし、それなりには面白いが、特別というほどでもない、と私は思った。エッセイなので、合う人にはもっと面白いのかもしれない。
そうしたもので良ければ、読んでみても、という本だろう。
しかし、著者が暴力団関係者お断りでやってきたのは、その通りで立派な理念ではあるのだろうが、本書に法的アドバイスを与えたり解説や推薦文を書いた人の略歴が、振るっている。四人のうち、一人は美空ひばり代理人、一人は警察庁生活安全局長からパナソニックの常務役員、國松孝次元警察庁長官は、警察庁長官の後、自動車安全運転センター理事長だ。新潮文庫編集者の嫌がらせなんだろうか。