『手ごわい頭脳 アメリカン弁護士の思考法』

コリン P.A. ジョーンズ 著
新潮新書
ISBN978-4-10-610286-8
主に、アメリカの弁護士がどういう考えで活動を行っているか、ということが書かれた本。
大体のところ、アメリカの弁護士や弁護活動に関する読み物、と考えておけば良い本か。英米法が判例法であるということは知っていたが、実際にどういうものであるか、ということの一端が垣間見れたので、私には面白かった。興味があれば、読んでみても良い本だと思う。
立ち位置として、アメリカの弁護士を擁護し顕彰するものではあるだろうが、そうしたもので良ければ、悪くはないだろう(しかし、アメリカの弁護士とアメリカン弁護士をどういう基準で使い分けているのか、よく分からない)。
新書レベルの読み物としては、まずまずまとまった本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
アメリカでは、法律は州によって異なるので、○法第何条の条文は、というようなことはロースクールでは教えないし、弁護士も知らない。ロースクールでは一般原則が教えられるし、全国共通のものが多い各州の司法試験でも、問われるのは一般原則になる。
陪審は法を無視することができる。例えば安楽死を非有罪にしたり、禁酒法時代には禁酒法違反での訴追が陪審によって阻止されたりした(一度陪審が非有罪評決を出した裁判を検察が上訴することはできない)。
・実務上、すべての裁判を陪審にかけることは無理なので、司法取引が使われる。
判例法は、アナロジーを使って、適応を変えていく。テキサスの破産関連の法律では、二頭の馬もしくはロバが免除資産として認められているが、今日では二台の自動車と解釈されている。
アメリカの弁護士には細かい倫理規定があり、司法試験の重要な項目でもあるので、アメリカの弁護士はある程度倫理的。