『“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実』

河岸宏和 著
アスキー新書
ISBN978-4-7561-5135-3
食品の品質管理に関して書かれた本。
内容は、食品の加工や流通現場の実態を記した部分と、食品の加工・流通現場における品質管理のあり方が説かれた部分とが半分半分といったものか。
一つの本に二つのことを書こうとするのがそもそも駄目だ、というべきかどうか、品質管理について書きたかったのなら、現場の実情はこうなっているからこういう品質管理が必要なのだ、という話に持っていくのは理に適っているとは思うが、(私を含めて)一般の読者が、食品の加工・流通現場における品質管理のあり方というものにどこまで興味を持てるのか、それを必要とする人なら現場の実態はよく知っているだろうし、全体にちぐはぐな感じのする一冊だと、私は思った。
読み物として、特に悪いという程でもないが、特に良いという本でもなく、単に現場の実態を知りたいという雑学的興味で読むには、少し微妙な面はある。
それでも良ければ、という本だろう。
以下メモ。
・クリスマスや正月にそれ用の食品が大量に並ぶのは、予め作って冷凍保存してあるからだ。
・ロースを切り分ける時、歩留まりを上げるために、隣のバラ肉の部位もつける。
・スーパー等のひき肉は、ロースやバラを取り終えた残りの肉ではなく、ひき肉用のブタ(年老いた親ブタ)の肉を使う。
・量り売りや対面販売の場合、原材料や賞味期限の表示義務はなく、それに準じて、弁当屋の弁当にも表示義務はない。
・中国のスーパーは仕入先を全く信用しておらず、厳しくチェックするので、売っている商品はかえって安全。
・牛肉は、スライスした時点からおいしさが逃げて味が落ちていく。