『解離性障害 「うしろに誰かいる」の精神病理』

柴山雅俊 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-06383-0
解離性障害に関して書かれた本。
全体的に、かなり理念的、思弁的色彩の濃い本だが、そうしたもので良ければ、解離性障害についての理念的な概説、という本か。
理念的・思弁的であることは、頭でっかちになって無駄に難しくなること、現実をどこまで過不足なく抽象できているのかが問題となり得ること、から、私には良い特徴だとは思えなかった。
後は、そうしたもので良ければ、そうした本。
私は積極的には薦めないが、解離性障害についての理念的な概説で良いのなら、読んでみても、という本だろう。
メモ1点。
・解離の病態では、患者は、他者が患者に向ける想いを感じ取って、その表象に没入する傾向が見られるので、周囲の者が交代人格を細かく同定しようとしたりすると、交代人格の出現を促すことになりかねない。