『サムライとヤクザ 「男」の来た道』

氏家幹人
ちくま新書
ISBN978-4-480-06381-6
江戸時代の泰平の世に武士が軟弱化した傾向等について書かれたエッセイ。
テーマ的には、サムライが軟弱化した代わりに、陸尺と呼ばれた駕籠かき等の奉公人に武威がアウトソーシングされた、という話になるのだろうが、テーマが云々ということは余り考えない方が良い軽い読み物。
特別ではないが別に普通の江戸読み物、と考えておけば良い本か。この著者の本としては大体標準的なクラスの出来栄えだと思うし、ファンならば読んでみても、というところ。この著者の本を読んだことがない人が、無理に手を出してみる程のものでもないと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても、という本だろう。
メモ1点。
永井荷風は、自身の通っていた旧制中学が、嘉納治五郎が校長に来て柔道をやるようになってから、男色の風が広がった、と書いている。