『官僚とメディア』

魚住昭
角川oneテーマ21
ISBN978-4-04-710089-3
いくつかの事件について書かれた本。
一応、メディアと国家権力との癒着構造にかかわる事件を集めたもの、といえば集めたものだが、割と雑多な読み物で、全体的なテーマはない。「月刊現代」や「AERA」に書いた文章を元にした、ということなので、要するに、雑誌掲載を一冊にまとめたものであり、この著者のファンが買うような本、というところだろうか。
テーマ的には甚だ中途半端だが、別にそういう本ではなく、好きな人にはこれで良いのだろうから、読みたければ読んでみても、というもの。
分類すれば、朝日新聞型の進歩派ジャーナリスト、にはなるだろうから、そういうのが良い人には、という感じだと思うが、昔は良かった、という話が多いような気がするので、昔が良かったのなら進歩主義ではない訳だから、違うかもしれない。昔は北朝鮮の批判は書けなかったので良かった、かもしれないが。
以下メモ。
木村建設平成設計が地元九州で使っていた中山構造研究所の構造計算と、姉歯一級建築士の構造計算とでは、使用する鉄筋量に殆ど変わりはなく(元々、九州で使っていたものを示して、この程度で、と姉歯に発注した)、中山構造研究所の構造計算は、法令が定める耐震強度をクリアしている。
・メディアは情報が欲しいから検察を叩くことをしないが、逆に、検察はメディアに餌を与え続けるためには、事件を摘発し続けなければならなくなった。