『かたき討ち 復讐の作法』

氏家幹人
中公新書
ISBN978-4-12-101883-0
江戸時代の敵討ちに関していろいろなことが書かれた雑学読本。
基本的に、よくある江戸読み物、と考えて間違いないが、事例もそれなりにあるし、割と良質の江戸読み物といっていいのではないだろうか。
私はこの著者の本は何冊か読んでいるが、その中では上位に来る出来栄えだと思う。
後は、ありがちな江戸読み物なので、特に述べておくようなことはない。江戸読み物が好きな人や興味のある人なら、購読しても良い本だろう。
以下メモ。
・怨む相手を指名して先に自害すれば、相手を切腹に追い込める習慣があった。
山鹿素行をはじめ、江戸初期には、敵持にはなんとしても逃げ延びることが勧められている。
・幕府によって正式に敵討ちが認められるのは、父や兄等の目上の者のかたきを討つ場合であり、弟や子のかたきを討つのは認められなかった。
・合戦や敵討ちに明け暮れた戦国から江戸初期の人々は、殺されるのは非業の死であり畳の上で死ぬことをよしとするような現代の死生観とは、異なる死生観を持っていたのではないだろうか。