『生命のセントラルドグマ RNAがおりなす分子生物学の中心教義』

武村政春
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257544-7
DNAからタンパク質が合成される過程や、RNAの機能について書かれた本。
タンパク質合成までの過程がすっきりと一通り解説されているし、書き慣れていて読みやすい感じもあって、私には良い本だった。興味があるなら、お薦めしたい。
欠点としては、仕方がないことではあるのだろうが、むやみにカタカナが多いような気はする(プロモータークリアランス(RNAポリメラーゼがDNAのプロモーター領域上に結合した基本転写因子から解き放たれてmRNA合成を開始すること)とか、エクソン・ジャンクション複合体(スプライシングによってエクソン同士が結合した時、その接合部につくタンパク質)とか、リコーディング(mRNA上のコドンの翻訳が、一塩基ずれるなどして、読み替えられること)とか、クロマチン・リモデリング(DNAがヒストンに巻き付いて作る構造(クロマチン)が遺伝子発現を活性化したり抑制するために変化すること)とか、アンチセンス阻害(DNAやRNAの二本鎖の内、遺伝子をコードしている方をセンス鎖、それと相補的な方をアンチセンス鎖というが、mRNAと相補的なRNAを使って、タンパク質合成を阻害すること)とか。全くの初心者が読むと、少し混乱するかもしれない。
しかし、そうしたもので良ければ、一通りまとまった良い本だと思う。
興味があるのなら、お薦めしたい。
以下メモ。
・mRNAにコピーされたイントロン領域は、すべて「GU……AG」という塩基配列になっている。
・mRNAはDNAの忠実なコピーではなく、スプライシング以外にもいくつかのRNA編集が行われることがある。
スプライシングを受けたmRNAには、エクソン・ジャンクション複合体や、その他のタンパク質がくっついて、そのmRNAが正常に作られたものであるということを示す。エクソン・ジャンクション複合体より前に終止コドンがあるmRNAは、分解される運命にある。