先日、老人に対して変な業者がセールスしている場面に出くわした。
ある場所で隣の席の話し声が聞こえてくるのをなんとなく耳にしていたら、そんな感じのセールスだった。肝心な部分になると声をひそめるのでよく分からなかったが、いずれにせよ、悪徳業者か、それに近い商売だろう。
小金を持ってそうな老人を騙すテクニックはなかなかのもので、面白かったので、ここにメモしておく。
・基本的に、セールストークといっても、トークはしない。8〜9割がた、相手にしゃべらせる。
・相手の言ったことには絶対に反論しない。100%受け入れる。
例えば、おたくのような業界には悪徳業者が多い、と言われても、うちは違います、とは反論しない。「おっしゃるとおり変なところが多くて困っています」、と言う。
・自分がへりくだり、相手を持ち上げる。
「入ったばかりで右も左もよく分からない」「経験豊かなので分かっていらっしゃる」等。そして、「こんなことは当然分かっていらっしゃると思いますが」といって、難しいことを説明をする。
・相手が言ったわずかな言葉尻を捉えて、反撃に転じる。
「おっしゃるとおりそれが問題です。そこで、我が社ではこのようなプランを用意致しました」
 
TV時代劇の「水戸黄門」に人気があるのは老人に若い者が平伏すからだ、という説明を聞いたことがあるが、確かに、今の日本の老人がいかに恵まれていないかが分かる。
現役の時代に他人が頭を下げたのはその人の肩書きに対してであり、現役を退いた後に他人が頭を下げるのはその人のお金に対してである。