『シーア派 台頭するイスラーム少数派』

桜井啓子 著
中公新書
ISBN4-12-101866-4
シーア派について書かれた概説書。
別に良い本だとは思わないが、それなりの概説といえば概説、という本か。
積極的に薦めることはしないが、興味があって概説で良ければ、読んでみても、というところ。新書レベルの時事的な概説ということだと、こんなものではあるのかもしれない。
良い本だとは思わないというのは、基本的に、護教的な本ではないし、(シーア派ではこうだとされているが実際にはこうだ、という話がほぼゼロであることからもうかがえるように)対象に対する批判精神が感じられないから。イスラム教がどうかは知らないが、宗教に関する本というのは、過度の批判精神がないと護教レベルの言説に引きずられがちであり、それならば最初から護教書の方が利用価値があったりするものだと、私は思う。
後、概説だし、取っ付き難いカタカナ語が続いたりとか、無味な部分はある。現代史の時事的な部分はそれなりに面白いが、時事的なだけに風化するのも早そうだ。
ということで、別に良い本だとは私は思わない。新書レベルの概説としてはこんなものかもしれないので、それでも良ければ、というところ。
積極的に薦めるのではないが、興味があって概説で良ければ、読んでみても、という本だろう。