『中村邦夫 「幸之助神話」を壊した男』

森一夫
日経ビジネス人文庫
ISBN4-532-19364-8
中村邦夫松下電器産業社長(現会長)に関して書かれたビジネス読み物。
基本的な軸としては、松下電器がどのような問題を抱え、中村がそれに対しどのような改革を行ったか、ということが書かれたもので、中村をやや無批判に礼賛した本ではあるものの、全体的にはありがちなビジネス読み物と考えて良い本だと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても、という本か。特別ではないがそう悪くもない本。
松下がどんな問題を抱え中村がそれに対してどう対処したのか、を一文でいえば、大量生産時代には見合っていた製品毎の事業部制を止めて、より大括りなドメイン会社方式にした、というところで、松下における事業部制が今の時代に合っていないことは書かれていても、本当に、ドメイン会社方式が今の時代もしくは次の時代に合っているのかどうかは、証されておらず、そうした点が、やや無批判に礼賛している、と感じられる所以ではあるのだが、それが証明できるくらいならばどこの会社も飛び付いている訳で、しょうがないといえばしょうがないか。
日経の記者が失敗した訳でもない大企業のトップについて何かを書くとなれば、こんなものなのだろう。
特別に薦める程ではないが、悪くはない本。興味があるのならば、読んでみても良い本だと私は思う。
メモ1点。
・山下跳びは、松下幸之助から見れば娘婿で社長だった松下正治外しという面もあった。
(※なお、邦夫の邦は異字体である)