女性のオルガスムス

は男性のオルガスムスより強い、という言説が、男性の目から見て真実であるように見える、ということは、確かであると思う。
その理由としては、つまり、オルガスムスの快感は、実際にはそれ程強いものでもないのではないだろうか。男性が感じるオルガスムスは、期待を大体において下回るものではないか。それ故に、男性は、自身が感じるオルガスムスよりも女性のオルガスムスの方が強い、と考えるのではないだろうか。
更にいえば、詳しくはとても比較できない程におぼろげて、且つおそらくは美化されているだろう私の古い記憶に従えば、女性のエクスタシーと相通ずるものがあるだろう精通前の男性の性的興奮は、精通後の男性の性的興奮、即ち射精に比べて、強かったような気がする。射精という明らかな肉体的限界によって終了させられる精通後のエスクタシーと違って、明白な肉体的変異を伴わない精通前の性的興奮は、それ故にか、精神的な快楽の絶頂において、終了していたように思うのである。
精通前の性的興奮に比べれば、精通後の性的興奮は、いってみれば、射精による快楽の強制終了に過ぎない。
エクスタシーが肉体的な限界によって終了させられないならば、その終了は、精神的な快楽の絶頂によってのみ、終了させられるであろう(これは、事実においてそうである、と主張するものではなくて、論理的に考えればそうなる、ということである、念のため。また、女性のエクスタシーが、女性器の痙攣といった肉体的な限界によって強制終了させられていない、という保証はない)。
悲しいから泣くのではなく泣くから悲しいというように、男性においてはオルガスムスを感じるから射精するのではなく、射精するからオルガスムスを感じる、といえるのではないか。
オルガスムスの快楽は、実際にはそれ程に強いものではなく、男性は、それ故に、自身が感じるちんけな男性のオルガスムスよりも女性のオルガスムスの方が強い、と考えるのではないだろうか。
もしそうであるならば、男性から見て、肉体的な限界による快楽の強制終了に過ぎない男性のオルガスムスよりも肉体的な限界によらない女性のオルガスムスの方が強いように思えるのと同様に、女性から見れば、自らのちんけな快楽に比べて、男性が感じているであろう(真の)オルガスムスは、余程凄いもののように思えるのではないか。アンケートで多くの女性がオルガスムスを感じたことがないと回答するのは、その変奏に過ぎないのではないだろうか。