『ジプシー 歴史・社会・文化』

水谷驍 著
平凡社新書
ISBN4-582-85327-7
ジプシーに関する概説書的な本。
というか、要するに、ジプシーに関して著者が調べた範囲の現時点での一応のまとめ、といった本か。
調べた範囲の現時点での一応のまとめ、なので、概説書としてよくまとまっているとかきっちりできているとかいうことは(多分)ないし、一冊の本にふさわしいテーマや内容があるということもなく(「ポルトガルや低地地方」なんていうのは向こうの本から適当に引っ張ってきただけだろうし)、別に良い本だとは思わないが、ただ、余り類書もないみたいなので、新書レベルの概説書としては、こんなものでもしょうがないか、といった感じの本だろうか。
しょうがないのでもしょうがないと思えば、読んでみてもというところだし、しょうがないではしょうがないだろうと思えば、止めておけば、というところ。
余りお薦めするような本ではないと思う。
以下メモ。
・ジプシーの集団がしばしば使用するロマニ語は、インド諸語と類似している。
・ジプシー(エジプト人)と呼ばれた人々は、11から14世紀にかけてバルカン半島に進出、定着し、15世紀以降、ヨーロッパ各地に広まった。
・15世紀頃の中世から近代資本主義社会への移行時期に発生した流民、貧民が、定住し定職を持つことを是とする国民国家によって排斥され、ジプシーとして固定化された、という説もある。