『本当の潜水艦の戦い方 優れた用兵者が操る特異な艦種』

中村秀樹 著
光人社NF文庫
ISBN4-7698-2493-9
潜水艦の軍事戦略に関していくつかのことが書かれた本。
第二次世界大戦から現代まで幅広く扱っているせいもあって、話が拡散的でだらだらとした感じはあり、一冊の本として優れている、というものではないが、海上自衛隊の現状を批判した部分とか、面白い箇所もなくはないので、軍事雑学本と見るならば、それなり、といった本か。
興味があって軍事雑学本で良ければ、読んでみても、というところ。
出来が良い訳ではないのでお薦めする程のものでもないが、雑学本としては許容範囲内、といった本だろう。
以下メモ。
原子力潜水艦の水中移動速度は30ノットを越え、水上艦よりも高速である。
第二次世界大戦時の潜水艦は、通常時は充電しながら水上を航行し、主に戦闘時にのみ潜航した。
・潜水艦は他の兵種を確実に先制探知できるが、ひとたび発見されれば防御は脆弱なため、その隠密性を活かした作戦で使用すべきである。予め敵のいそうな海域に派遣して自由に行動させるのが良く、頻繁に、通信したり作戦海域を変更したりするのは良くない。結局のところ潜水艦に最も適した作戦は、敵の少ない後方海域において攻撃力を持たない商船を狙う通商破壊作戦である。
・海中にある潜水艦を敵国のものであると確認する手段は実際のところ存在しないので、潜水艦を先制攻撃するのは国際法に抵触する。
・海里(浬)は、地球全周の360分の1の更に60分の1。1時間に1海里進む速度が、1ノット。即ち、緯度が一度違うと距離は60海里離れ、時速60ノットの船は、360時間で計算上地球を一周する。