今更遅いが、「どうぞ良いお年を」

と「どうか良いお年を」は、どっちが正しいのだろう。
そもそも、どうぞ、と、どうか、は、どう違うのか。
「どうぞお召し上がりください」、「どうかお召し上がりください」の違いを考えるに、どうぞ、は推奨する感じ、どうか、は懇願する感じ、だろうか。
ところが調べてみると、神に対して祈りを奉げる場合は、伝統的に、どうぞ、を使う場合がある模様で、この辺りの神観念は民俗学的に面白いものがありそうな気がするが、いずれにしても、どうかとどうぞの違いは明瞭ではない。
「どうか病気が治りますように」も「どうぞ病気が治りますように」も、どちらも正しい(神に対して祈る場合、後者の方が寧ろ正しいかもしれない)。
出征する兵士に対して直接言うのが、「どうかご無事で」であり、「どうぞご無事で」は、既に出征した遠くの兵士の無事を祈っている風。
つまり、「どうぞ良いお年を」というのは、良い年を迎えられるよう神に対して祈っている感じ、「どうか良いお年を」は、人間の運命は自分自身で切り開く、というタイプだろうか。
そういえば昔、どうぞこのまま、という歌があったが、あれは何で、どうぞ、なんだろう。
女性が、所詮長時間一緒にはいられない不倫相手に対して言う場合、どうかこのまま、を使うのではないだろうか。相手の男は神なのか。思うに、あれは不倫の歌ではなくて、デリヘル嬢と客の歌であるに相違あるまい。
(後記:歌詞では、どうぞこのままやまないで、と歌っているから、雨を降らせる天の神に雨を止めないように祈っているのであり、どうぞが正しい、ともいえる)