『博物館の誕生 町田久成と東京帝室博物館』

関秀夫 著
岩波新書
ISBN4-00-430953-0
現在の東京国立博物館の明治期の足跡を、その創立者である町田久成を中心に追った本。
全体的に、特にどうということもない歴史読み物で、悪くもないが良くもないという、標準ちょい下辺りのありがちな新書読み物。
割と細かいところをがたがたとやっているので、明治新政府内部の権力闘争とか、私にはそれなりに楽しめる部分もあったが、何故町田久成が博物館を建てようとこだわったのか、その動機について殆ど突っ込まれていないなど、物足りない部分もあり、取り敢えず一冊本を書きました、という以上のものではないと思う。
日本最初の博物館というのが、そういったもので尚よし、といえる程のテーマかどうか、好きで読んでみたいというのならばともかく、書評を読んでからわざわざ手を出してみるような本でもないのではなかろうか。
読んでみたければ読んでみても、というところではあるが、もう一つ、何かが足りないと思う。
以下、メモ。
町田久成は、明治二年に、来日したエジンバラ公ルフレッド(ビクトリア女王の第二王子)の接待を取り仕切ったが、この時の丁重な接待が尊皇攘夷派の反発を買い、外務省からの異動を余儀なくされた。
町田久成の後ろ盾となっていた大久保利通の死後、博物館建設は、完成したら博物館を皇室資産に組み込むことにして、推し進められた。
・町田の博物館作りに否定的だった田中芳男が、動物園の設置を押し込んだ。