『脱税 元国税調査官は見た』

大村大次郎
祥伝社新書
ISBN4-396-11016-2
脱税に関していくつかのことが書かれた概説書風の本。
全体的に、特別ではないが悪くもないという標準クラスの本で、脱税に関して一通りのことが知りたいというような人なら、読んでみても、という本か。
ただし、サブタイトルは、元国税調査官は見た、となっているが、内情暴露系ではないものを主旨に執筆した、ということで、その方面には余り期待しない方が良い。読み物としては、そういう内情暴露系の方が断然面白いだろうと思うし、この著者も他にそういう本を書いているみたいなので、内情暴露系が欲しいという人は、他を探した方が良いかもしれない(私はこの著者の他の本は読んでいないので、責任は持てないが)。
あくまで概説書風のもので良ければ、読んでみても、というところだろう。
以下、メモ。
・重加算税は仮装隠蔽がなされている場合にかけられるので、脱税のニュースでも重加算税が課せられていない場合は、国税当局と見解の相違だった可能性が高い。
・財産を相続させたり生前贈与すれば税金がかかるが、離婚の慰謝料にはかからないので、相続税を脱税するために偽装離婚を行う人もいる。
・それまでは規制によって寡占状態が守られてきたビール業界に、規制緩和地ビールが登場したことで、ビールより税金の安い発泡酒が出てきたのだろう。