ちょっとまとまりはない感じ

『「性」の進化論講義 生物史を変えたオスとメスの謎』
更科功 著
PHP新書
ISBN978-4-569-85038-2
進化生物学的に見た性の話題をいくつか書いた本。
ややテーマ的なまとまりには欠けるが、一般に受けのよさそうなその辺の話題をいくつかちりばめた一般向け生物学読み物、という本か。それで良ければというもの。
専門家から一方的に与えられる講義だからこんなものなのかもしれないが、著者の言いたかったことがよく分からない、というか、そもそもそんなものはなかったのだろう。一方的な講義だから。
とはいえ、もう少し何かあっても良かったのではないか、と個人的には思う。
一般向け読み物の範囲としては、こんなものかもしれないが。
それで良ければ、という本だろう。

数学読み物

『数学とはどんな学問か? 数学嫌いのための数学入門』
津田一郎
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-524681-8
数学読み物。
数学嫌いを治す、という動機はあるのだろうが、ただの数学読み物だと思う。それで良ければ、という本か。
特に、というほどのものはない感じ。
数学読み物で良ければ、という本だろう。

ルポ

『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』
鈴木智彦 著
小学館文庫
ISBN978-4-09-407052-1
密漁について取材したルポ。
ルポとしては面白い、ただ、暴力団とのかかわりについては、それ以上の構造的な分析などはない、という本か。ルポで良ければ、というもの。
読み物としては面白いと思う。
ただしそれ以上のものはない。
コンテンポラリーとしては、それはそれでなんだろうが。
それで良ければ、という本だろう。

経緯を知るだけなら

中先代の乱 北条時行鎌倉幕府再興の夢』
鈴木由美 著
中公新書
ISBN978-4-12-102653-8
中先代の乱について書かれた本。
前後の経緯を含めて、乱の紹介だけなら、それなりに面白くて読める本。歴史好きならば、というところか。
ただし、これらの反乱の背景に建武政権に対する不満があり、中先代の乱足利尊氏を鎌倉に呼び寄せ後醍醐から離反するきっかけとなった、というのなら、建武政権に対する不満のあり様こそが中心的なテーマになるべきではなかっただろうか。
そこをネグレクトしてしまっているのは、どうも、という感想。
まあ難しいのだろうが。
それでも良ければ、という本だろう。

分からない数学読み物

多様体とは何か 空間と次元から学ぶ現代科学の基礎概念』
小笠英志 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-523182-1
多様体について書かれた入門的解説読み物。
ほぼ多様体のみに絞っているので広がりはないが、その分多様体に特化しているとはいえる。それで良ければ、という本か。
特化していようがいなかろうが位相幾何の本がそんなに簡単なわけはなく、簡単でないのに特化してあるというのはどうなんだろう。
どうせ分からないなら広がりがあったほうが、少しは楽しめるのではないだろうか、というのが個人的な感想。
本当に、多様体について知りたい、という人にはいいのかもしれない。
それで良ければ、という本だろう。

機械学習の考え方

『はじめての機械学習 中学数学でわかるAIのエッセンス』
田口善弘
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-523960-5
機械学習の考えた方について述べた本。
機械学習とは要するに関係性の予測を行っているのだとした上で、様々な機械学習の手法がどのように関係性の予測を行っているかを述べたもの。分かりやすいわけではないが、その程度で良ければ、という本か。
発想の根本を捉えようとしたもので、方向性としては悪くないと思う。
ただし、実際にどういう計算を行っているかを明示しているわけではないせいか、個々の手法の詳細については、曖昧模糊としていて、分かりにくい。
分かりにくいというか、多分読んだ私には理解できていない。
数学的な説明を省いているからなのかどうか、だとしてももう少し分かってもいいのではないかという気はするが。
それでも良ければ、という本だろう。

雑誌掲載のまとめ

『実録 脱税の手口』
田中周紀 著
文春新書
ISBN978-4-16-661321-2
脱税事件の記事をいくつか集めた本。
内容把握的にも、実際のところも、脱税事件に関する週刊誌の特集記事を集めたもの、と考えておけば間違いない。そうしたもので良ければ、という本か。
別にそれはそれでというものなんだろうが、週刊誌の特集記事を一冊分まとめて読みたいか、というと、どうなんだろう。
そうしたもので良ければ、という本だろう。

以下メモ
・脱税している企業などは引っ越しや移転を繰り返す。税務署の管轄の壁を越えて継続的に調査することは難しい。