『DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か』

小林武彦 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-502034-0
DNAのうちのタンパク質をコードしていない領域について書かれた本。
現状の研究具合などをまとめたもので、特に目新しい内容はなかったが、そうしたものでよければ読んでみても、という本か。
知識をアップデートするには悪くない本ではないかと思う。
ただ、ヒトのDNAのうちの多くが遺伝子をコードしているのではない、という話はいささか旧聞に属するのではないかと思うし、何か決定的な仮説とか研究成果が出てきたわけでもないようではある。
後、説明があまり分かりやすいものではないような気はする。
特にとりたてて、というところではあろう。
それでよければ、という本。
アップデートにはなると思う。
そうしたものでよければ、読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・DNAの配列決定は細かく分断したDNAの合成がどこで止まったかを見ているので、同じ配列が繰り返し出てくる非コード領域の配列は決定しにくい。
・DNAの一部の領域がヘテロクロマチン化して転写されにくくなっているのは、ゲノムの中に寄生しているモノが勝手に振舞わないようにするためという仮説がある。
・ヨザルは桿体細胞の核がレンズ様になって光を集めることで、夜行性の猿となったが、レンズを作っている部分も非コード領域である。