『「偶然」の統計学』

デイヴィッド・J・ハント 著/松井信彦 訳
ハヤカワ文庫NF
ISBN978-4-15-050510-3
私たちが目にし、その背後に特別な何かがある、と考えるような偶然の一致は、実はそれほど偶然ではない、ということが書かれた本。
その統計学的な意味を説明したアンチオカルト系の書、というところで、そうした楽しみはあるので、それでよければ読んでみても、という本か。
基本的には、何かは必ず起こること、試行回数が多くなれば偶然の一致も起きやすくなること、起こったことを事後に選びなおした可能性があること、ヒトは確率をはっきり認識することはできないので実際の確率との間にずれがあり、組み合わせ次第ではそれが大きくなってしまうこと、一致といっても何もかもがまったく一致することは難しく、近いものを一致と捉えているうちに確率が大きくなってしまうこと、こうした要因によって、偶然の一致とされるものが起こってしまう、ということが書かれている。
実際あまりたいしたことは書かれていないような気はするので、諸手をあげてお薦めというほどではないが、それなりには楽しめる本だと思う。
それでよければ、という本だろう。