『地球を突き動かす超巨大火山 新しい「地球学」入門』

佐野貴司 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257925-4
著者の研究フィールドである超巨大火山に関して書かれた本。
それほどまとまっているわけでもなく、入門という感じでもないが、著者の研究フィールドのことが書いてあるだけに、興味深くは読める。ある程度この分野に親しみがあって、読んでみたいなら、という本か。
いくつか科学書を読んでいる人なら、悪くはないと思う。
ただし分かりやすくはない。
例えば、地下深くに行けば圧力が上がることも、圧力が上がれば融点が上がることも書いてなく、そうした説明抜きに地下深くで融点が上がることだけが書かれているが、全体にそんな感じで、説明があと一歩足りていない。
それくらい常識だといえばそうかもしれないが、それを読者に思い起こさせるだけで難易度が全然変わってくるわけで、本書はあまり分かりやすいとはいえない。
地学の本が始めてという人にはやや苦しい面があるかもしれない。
それでもよければ、という本だろう。

以下メモ。
南アメリカにあるパラナとアフリカにあるエテンデカの超巨大火山は、元は同一の火山であり、また噴火時期もアフリカ大陸と南米大陸の分裂時期が重なる。
このように大陸の分裂と超巨大火山には関連があると考えられる。
・こうした巨大火山を作る大量のマグマは、核とマントルとの境界層から熱い上昇流がプルームとなって上がってきて作られるというモデルが考えられている。