『五感で読む漢字』

張莉 著
文春新書
ISBN978-4-16-660853-9
五感に関連した漢字について、その成り立ちを述べた読み物。
おおむね、普通にありそうな漢字雑学読み物か。そうしたものでよければ読んでみてもよい本だと思う。
比較文化論的な話もなくはないが、漢字雑学読み物と考えておいた方がいい。
通俗語源解釈的な感じもしないではないが、これはこれで楽しいし、そういうものなんだろう。
そうしたものでよければ、という本。
興味があるならば読んでみても、という本だろう。

以下メモ。
・臣は目を象ったもので、神を見上げる形が王を見上げる臣下の意味になった。臣を使う臨、監、覧などには目の意義が残っている。
・法は元々敗訴を意味し、さんずいは負けた人が川に流される様を表している。勝訴が慶。
・色は、クと巴の二人の人を象っており、顔色を見ている意だが、交合しているという解釈もあって色気、色欲に通ずる。
・家は豚を生贄として捧げた場であって、豚を飼っていた場所ではない。
・芸(藝)は元来種をうえるという意味である。種をうえるほど暖かくなった状態が熱。
・左は左手で工を、右は右手で口を持った形を象っている。工も口も呪祭具であり、工を両手で持ったのが巫。口は祝詞を入れる器で、口に捧げるものが言、口に神が現れると臨、ひざまずいて神意をうかがう人(令)に神が命じ、神意を耳でよく聞くと聖となる。左手に工、右手に口を持って神の居場所を尋ねる。