『成熟社会の経済学』

小野善康 著)を途中で挫折した。
共産主義的でちょっと気持ち悪い。
全体的には、なんというか、ガンの特効薬に関するニュースを見ている感じか。バラ色のことばかり書いているが、絶対そんなにうまくいかないから、というところが。
第一に、政府の能力を過信しすぎだし、第二に、都合の悪い部分は無視しているし、第三に、出口戦略がない。
成熟社会になって生産能力が余るようになり需要が足りなくなったから不況が続いている、という基本テーゼは、一周回ったケインズみたいで確かにもっともらしいのだが、実際にどれだけ需要が足りないか政府は知ることができないし、ケインズ政策に対して起こったスタグフレーションやルーカス批判にも答えていない。
需要が足りないから政府が雇用を創出しろ、とはいっても、民間の需要とまったく重複しない分野などはないだろうから、政府が十万人分の雇用やサービスを作っても、民間の雇用が五万人分削られれば純増は五万人分でしかないし、サービスの純増は多分もっと少ない。
結局は国鉄みたいなことにしかならないのではないだろうか。