『甲骨文字に歴史をよむ』

落合淳思 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-06431-8
甲骨文字に関して書かれた概説書。
甲骨文字についての説明から、それらが示している殷の国家体制や歴史等に関してまで幅広く書かれた総合概説で、新書レベルの総合概説としてはこんなものという本だと思うので、総合概説で良ければ、読んでみても良い本だろう。
甲骨文字の世界に関して手広くまとめられたもので、その分、やや浅いような気もするが、新書レベルの総合概説としては十分な本だと思う。
興味があるならば、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・占卜に使われる骨に溝をつけることで、ひび割れのでき方をコントロールできる。
・甲骨文の初期の世界では、主神の位置に帝という神がいた。中期以降は記述が激減し、帝の文字は先王の名に使われるようになった。
・「史記」殷本紀の系譜と甲骨文字の系譜では、遠祖等、一部が異なる。また、紂の先代とされる帝乙の祭祀の記述は、甲骨文には全くない。