『「海洋国家」日本の戦後史』

宮城大蔵 著
ちくま新書
ISBN978-4-480-06432-5
独立から開発へ、という流れを以って、戦後のアジア史を捉えようとした本。
第二次世界大戦後のアジアの国際関係や日本の対アジア外交のいくつかの局面を、そうした観点から、素描した本で、私は歴史の流れをおおまかに捉えようとするものは大好きなので、面白く読めたし、興味があるならば、読んでみても良い本だと思う。
独立(脱植民地)から経済開発へ、という歴史観は、それなりに説得力はあると思うが、ただし、日本がアジアにおける経済発展のトップランナーであったことを考えれば、日本に有利な歴史観であることは間違いなく、ある種イデオロギー的な色彩を持った見方ではあるかもしれない。
後は、そうしたもので良ければ、面白く読める本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
バンドン会議アジア・アフリカ会議)において、周恩来は日本側に漢字簡略化の共同検討を提案したが、後になって岸首相が一蹴した。
・現在の日本においては、実際問題として取り得る対米外交の幅は狭いので、対中外交をどうするかが、外交問題における主要な争点であるのかもしれない。