『サイパン特派員の見た玉砕の島 米軍上陸前のマリアナ諸島の実態』

高橋義樹 著
光人社NF文庫
ISBN978-4-7698-2563-0
海軍報道班員だった著者が、米軍上陸間際のマリアナ諸島での体験を綴った本。
米軍上陸以後や捕虜時代の体験は殆ど書かれておらず、あくまで、サブタイトルにあるように、米軍上陸前のマリアナ諸島のことが書かれた本(ただし、実態というより、著者の経験が書かれただけのもの)。
そういうものなので、そういうもので良ければ、読んでみても、という本か。別に悪い本ではないので、面白く読める人には良い本なのではないだろうか。
派手なドンパチがあるのでもないし、ジャングルをさまよった苦労があるのでもないし、戦記ものとしての面白さという点では、少し微妙なところがあるようには思うが。帯には、「難攻不落と東条首相が豪語したサイパングアム島の防備の実状」云々と書かれていて、確かにその通りではあるのだろうものの、そういう背景等を知っていて、本書を十二分に楽しめる、という人向けの本なのか。
悪くはないので、興味があるならば読んでみても良い本だと思うが、余り広く薦める程の本でもないと思う。
それでも良ければ、というところだろう。