『悪魔という救い』

菊地章太 著
朝日新書
ISBN978-4-02-273198-2
悪魔憑きや悪魔祓いに関していくつかのことが書かれた本。
悪魔祓いという宗教民俗についての紹介と、悪魔憑きや悪魔祓いをネタに書かれた評論との中間くらいにある本で、従って――前者だと思って後者だときついかもしれないが、後者だと思って前者なら当然必要な紹介にはなるから――実際の選択にあたっては、悪魔祓いをネタに書かれた評論、と考えておいた方が間違いが少ないだろう。
大体のところ、この著者の評論が好きだという人が読むような本か。
全体に中途半端だし、著者の立ち位置が不鮮明だし、はっきりした結論はないようだし、悪魔という救いが必要な人がいる、というのは分かるが、私には必ずしもそうではないと思われるので、私にとっては、本書は別に良い本ではなかった。
評論で良ければ、自分に合うと思うのなら、というところだろう。
メモ1点。
・ジュリアン・ジェインズは、意識とは三千年程前に芽生えたものにすぎず、それ以前の人間は、主観的な意識や自らの意志ではなく、(内なる)神々の声に従っていた、と主張する。