『「中国問題」の内幕』

清水美和
ちくま新書
ISBN978-4-480-06409-7
主として政権内の権力闘争を軸に、現代中国に関して書かれた時事読み物。
大体のところ、別に標準的な時事読み物で、時事読み物としては悪くはない本だと思うので、時事読み物で良ければ読んでみても、という本か。
中国共産党政権内部の権力争いにほぼ的が絞られているので、それが知りたいという人には面白く読める本だと思う。
権力闘争の本質は外部からはうかがい知れないことも多く、まして中国ともなれば尚更だろうし、一党独裁とか書かれているし、10年先20年先のために是非とも、というような内容でもないが、時事読み物としてはこんなもの、という本ではないだろうか。
興味があるならば、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・歴史問題で強硬になると日本を台湾側に追いやってしまうので、台湾の統一、独立阻止のために、最近の中国は歴史認識靖国問題に柔軟になっている。
胡錦濤は、革命家二世の「太子党」と手を組み、反腐敗を掲げて、江沢民が率いる上海グループの追い落としをはかっているが、元々権力に近かった太子党の方が上海グループよりも腐敗は進んでいるかもしれない。
胡錦濤の支持人脈は、家族的背景もなく共産主義青年団から実力で上がってきた共青団人脈(団派)だが、団派は太子党に比べて経済に精通していないという欠点がある。
・2007年の17回党大会で政治局常務委員に選出された習近平太子党)、李克強(団派)のどちらかが、胡錦濤の次のトップになるだろうと考えられている。