『心理諜報戦』

野田敬生
ちくま新書
ISBN978-4-480-06411-0
プロパガンダや偽情報を使った宣伝、欺瞞工作等に関して書かれた本。
定義や分類や用語解説といったこまごまとした事項の羅列が多く、一冊の読み物としては、余り良い本ではないと思う。なんというか、ちょうどオタクの蘊蓄を聞かされているような感じ。
読み物として楽しむのではなく、そうしたオタク的なこまごまとした議論を知りたいという人向けの本か。
諜報というのは、何冊本を読んでもよく分からない世界だろうから、何冊かの内の一冊ならばこれもありかもしれないが、どうせ何冊も読むのなら何も本書でなくても、という気はする。
何冊か著作のある人らしいので、この著者の本を読んだことがない人は、取り敢えず他の本から入ることを薦める(私は読んだことはないが)。
別にどうしても、という程の本ではないだろう。
以下メモ。
・秘密文書をリークする時に一部を都合の良いように改竄しておいても、暴露された側はそこだけを否定することは難しい。
プロパガンダや工作に使われる情報は、偽の情報であるよりも真実であった方が効果は大きい。
・空城の計のように、相手が欺瞞工作を行っているのではないか、という疑念を抱かせるための工作もあり得るので、闇雲に謀略を疑えば良いというものでもない。