『戦国の城』

小和田哲男
学研新書
ISBN978-4-05-403462-4
戦国時代に築かれた城に関していろいろなことが書かれた本。
特にテーマはなく、大体のところ雑学本と考えておけば良い本で、城の構造等の無味な概説部分もあるが具体例に即して書こうとはしているようだし、興味があるならば読んでみても、という本ではないだろうか。
特別でもないが悪くもなく。対象となっているのは、武田氏や今川氏が築いたあくまで戦国時代の城が多く、そうした戦国時代の城に関する雑学本と考えるなら、こんなもの、という本ではないかと思う。
戦国時代の城に関する雑学本で良ければ、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・城は古代においては「き」と読まれており、城をしろと読むようになった最初の例は、山背国を山城国と表現するように命じた桓武天皇の詔であろう。
南北朝期には山深い所に千早城等の堅固な山城が築かれたが、室町時代に入って大名の所在地は政治・経済上の要衝であることが重視されるようになり、里に程近い城が平時の居館とセットで存在するようになった。武田氏の躑躅ヶ崎館も、平時の居館であり、戦時の詰の城である要害山城とセットになっている。
・秀吉が攻めた時の小田原城は城下町までを堀と土塁で囲んだ惣構になっていたが、その後に大坂城三の丸の外側に惣構を築かせているところを見ると、秀吉は城下町までを囲む惣構が実戦において有効であると認識したらしい。