『上野正彦の「死体学」ノート 死体を見れば、事件の真相は必ず見えてくる』

上野正彦 著
PHP文庫
ISBN978-4-569-66866-6
元監察医が書いたエッセイ風の読み物。
作りとしては、死体をテーマにした講演を一冊の本にまとめたもの、であるらしいが、変死体の検死を行う監察医が書いたエッセイ、と捉えておくのがまず無難だろうか。
法医学に関する入門読み物的な部分も多いが、犯罪や自殺から現代社会を見ようというような部分もあって、割と雑多な感じの本。エッセイなら、ファンが読むような、で済むが、入門読み物をファンが何冊も読んで面白いはずはないだろうから、中途半端といえば中途半端ではある。
講演を元にしているので読みやすくはあり(解剖学的なごちゃごちゃした記述もある)、読み捨てるのならこんなもので悪いとまではいえないだろうか、私にはそう特別な内容があるとも思えなかったし、特に薦める程の本でもないのでは、とは思う。
読み捨てるのならこんなものかもしれないので、それでも読みたければ、というところだろう。
以下メモ。
・ポックリ病で亡くなった人の一番の特徴は冠状動脈に動脈硬化が見られない点にあり、今の人は動脈硬化を持っているから、同じような死に方をしても狭心症の発作や心筋梗塞という病名が付いてしまい、ポックリ病で亡くなる人はいなくなったのだろう。
・漂流死体は水流によって服が自然に脱げる。