『驚異の戦争 古代の生物化学兵器』

エイドリアン・メイヤー 著 竹内さなみ 訳
講談社文庫
ISBN4-06-275409-6
ギリシャ・ローマを中心とした古代世界で使われた生物化学兵器に関する一般向け読み物。
これらの兵器の悲惨さと結局は兵器を作った者に災いが跳ね返ってくる教訓とを語ってBC兵器の反対を訴える、という反戦的モチーフが、あることはあるが、大体のところは、古代の生物化学兵器についての雑学本だと考えて良い本だと思う。
そう特別ではないが、別に普通にありそうな雑学本。
歴史叙述としてはあやうい面があるような感じもあるが(例えばギリシャ神話のいくつものバージョンを弁別していない等)、それなりの雑学読み物、といった本ではないかと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても、というところではないだろうか。
無理にという程特別なものでもないが、興味があるのならば、という本だろう。
ちなみに、アメリカの本なので、聖書やギリシャ・ローマの有名どころの知識が前提とされている感じはあるが、大きく問題となる程ではないだろう。聖書に関しては結構合理主義的な解釈を施していて、こういう本だから当然、これこれの奇蹟はこういう生物化学兵器を使ったものではないか、という解釈になっている訳だが、ファンダメンタリストがこれを受け入れるとは到底思えない訳で、一般向けに反戦モチーフを説いた本が、これで良いのだろうか。
以下メモ。
・古代では、ハチは死んだヘビから毒を吸い取り、ヘビは有毒植物を食べて毒を強化すると広く信じられており、同様に、トリカブトのような有毒な花は、黄泉の国の入り口から出る有毒な蒸気から養分を取ると信じられていた。
アルキメデスが作った鏡による兵器は、現代の実験で着火させることに成功している。