『猫のなるほど不思議学 知られざる生態の謎に迫る』

岩崎るりは 著 小山秀一 監修
講談社ブルーバックス
ISBN4-06-257513-2
猫好きによる猫好きのための猫ガイド。
ブルーバックスなので主知主義的な面はあるが、割と普通というか、ありがちな、猫に関するガイドブックだと考えて良い本だろう。
あれこれ考察されているので、主知主義的なものが好きな人には結構良い本ではないかと思う。興味があるのなら、良いのではないだろうか。
ただし、誤植なのか単純ミスなのか、本文に入って1ページ目と2ページ目に明らかな間違いのある本を(「エジプトの南、地中海にあるキプロス島」とか)、その他の部分がどうかは分からないが、余り薦める気にはならない、というのも、確かではあるが。
問題点としてはこの他に、総花的にいろいろ詰め込みすぎ、とはいえるかもしれない。生物学的なネコ本にするのか、猫好きのためのガイドにするのか、どちらか片方で良いという人には特に、虻蜂取らずに見えるということも考えられる。
しかし私は楽しめたので、良い本であるとしておきたい。興味があるのならば、読んでみても良い本だろう。
以下メモ。
・猫を含めて、家畜化した動物の脳は、野生種よりも小さくなる傾向がある。人間と共生することで、環境を敏感に捉えて危機を察知する能力を失ったためとも考えられる。
・ネコは網膜の奥にあるタペータムが光を反射することで、光を効率的に捉える。夜中に猫の目が光るのは、そのせいである。
・ネコの排卵は膣刺激によって起こる。ネコのペニスに刺があるのはそのためである。
・オスの三毛猫は、性染色体がXXYになっていると考えられる。
・二つあるメスのX染色体のうち、どちらか一つは機能を停止していると考えられており(ライオニゼーション)、三毛猫のクローンを創っても毛色が同じになるとは限らない。