『江戸時代の設計者 異能の武将・藤堂高虎』

藤田達生
講談社現代新書
ISBN4-06-149830-4
藤堂高虎についての評伝。
講演を元にしているせいかどうか、論証が余りないので、基本的に、私は歴史書として良い本だとは思わない。
豊臣政権の中央集権的な政策によって地方が疲弊した、というような概念的な話はややエキセントリックな感じもするし、タイトルのようなことも、他の有力諸大名との比較がなければ、ただの一方的な主張に過ぎないだろう。
もう一つ、藤堂高虎が築いた城郭の細かい話が多いのも、無味乾燥で私としては好きになれなかったが、ただし城好きな人には、こういう方が楽しめるかもしれない。
良くいえば、読み物レベルの武将本で良ければ、というところ。特に薦める程のものではなかった。
以下メモ。
名張藤堂家の初代高吉は、丹羽長秀の三男だったが、秀吉が丹羽長秀を懐柔するために弟秀長の養子として迎え、更に、大和豊臣家には秀次の弟の秀保が入ったため、当時子供のいなかった藤堂高虎が引き受けた。
関ヶ原合戦後の高虎は、各地に城を普請して、豊臣恩顧の西国大名への押さえとした。