『会社の値段』

森生明 著
ちくま新書
ISBN4-480-06289-0
会社の値段の計算方法に関して書かれた入門読み物。
経済合理主義的な立場から書かれた本で、ライブドア事件の直後では間が悪いという感はあるが、そうしたもので良ければ、読んでみても、という本か。
大体のところ、水準レベルの入門読み物で、悪くはない本だと思う。
会社の値段を計算する基本式を、キャッシュフロー÷(安定性−成長性)、と表記するのは、いろいろな意味で分かりにくいと思うが(安定性が高い程、企業価値も高いだろうし)、他には余り記しておくようなことはない。
会社の値段の計算方法に驚くような秘訣がある訳ではないが、悪い本でもなく。興味があるならば読んでみても、というところだろう。
以下メモ。
・金融における企業価値(EV)は、株式時価総額に純有利子負債を足したものである。
(会社の価値は、株主の持ち分と、その会社にお金を貸している人の持ち分とであり、無借金経営をしている会社の企業価値は、株式時価総額よりも低くなる)
・EBITDA(簡単には、営業利益に、減価償却、営業権償却を足したもの)は、特別損益や含み益の吐き出し等で数字が変わりやすい税引後当期利益よりも会社の実力を適切に反映しやすく、EVをEBITDAで割った倍率はPERと同様の指数として使える。
・ただし、持ち合い株式、優先株転換社債新株予約権等々を株式時価総額にどう計算させるかは複雑で問題が多い。