『チンギス・カン “蒼き狼”の実像』

白石典之 著
中公新書
ISBN4-12-101828-1
チンギス・カンの伝記と、彼の霊廟のその後の動向を追った本。
チンギス・カンのことは150pくらいまでで、後半1/3はその後の話であるし、著者は考古学を専門とするので、考古学的な話題が多いのが本書の特徴であるらしいが、大雑把にとらえて、普通のチンギス・カンの伝記、と考えて良い本だと思う。
チンギス・カンの伝記が読みたければ、読んでみても、という本。
一応、著者は、チンギス・カンの成功の要因として、戦略的な用意周到さと、とりわけその用意周到さで鉄を確保したこと、を挙げているが、全体としては、特別にどうということはない標準的な伝記だと思う。特別ではないが悪くない本。標準レベルのものを書くのが実際にはどれだけ難しいか、ということを考えると、これで十分に良い本だとすべきだろう。
ただし、普通の伝記だと考えると、後半のかなりの部分が殆ど蛇足に終わってしまったという感は残るが。
その点が問題ではあるが、全体的には、悪くはない本ではないかと思う。
チンギス・カンの伝記で良ければ、読んでみても良い本だろう。