『視覚世界の謎に迫る 脳と視覚の実験心理学』

山口真美
講談社ブルーバックス
ISBN4-06-257501-9
視覚機能に関して、その仕組みや乳児における発達時期等を論じた本。
大体のところ、ありがちな認知科学系の読み物で、良くいえば地に足の着いた、しかし言葉を変えれば、地味な印象のもの、といった感じの本だろうか。
きらびやかなトピックスを詰め込んだよくある認知科学系の読み物と比べると、地味であるし、この本だけのテーマなり特別な内容なりがあるのかというと、必ずしもそうではないような気がするし、地に足が着いているから細かい研究内容が分かるのかというと、実験の詳細までは書かれていないことが多いし、ということで、私としては中途半端な本のように思った。
敢えてそういうもので良い、という人には、特に悪いという程ではないので、それなりの本かもしれないが、脳科学認知科学系の読み物は他にいくらもある訳で、それらの本との差別化はできていないといえるだろう。
敢えてという程でもない人には、探せばいろいろあるでしょう、といっておきたい。