『暗黒宇宙の謎 宇宙をあやつる暗黒の正体とは』

谷口義明
講談社ブルーバックス
ISBN4-06-257496-9
可視光やその他の電磁波では観測できないダークな天文事象に関していくつかのことが書かれた読み物。
大体のところは、暗黒というモチーフで一冊本を書きました、という天文学読み物だと考えれば、間違いはない。
色々と手を広げ過ぎた結果、説明が中途半端になっているので、私は余り良い本だとは評価しないが、あくまで天文学読み物とみれば、許容範囲内、という本か。
天文学読み物が読みたいのならば読んでみても、というところ、ではあるが、ただし、普段私以上に天文学読み物を読んでいる人なら、本書程度の内容では満足できないのではないかと思うし、天文学読み物を余り読まない人には、もっと他に良い読み物があるのではないかという気がするし、どういう層に向くのかはちょっとよく分からない本ではある。
ダークマターダークエネルギーの解説を期待する人は、他の本を探した方が良い。
メモ1点。
・質量が太陽質量の0.08倍から0.013倍の星は、中心温度が、水素核融合が起きる1000万Kには達しないが、重水素核融合が起こる100万Kにはなるので、重水素核融合によって輝くことができる。これが褐色矮星である。