『哲学思考トレーニング』

伊勢田哲治
ちくま新書
ISBN4-480-06245-9
クリティカルシンキングについて書かれた読み物的な本。
私はクリティカルシンキングの本は余り読んだことがないが、個人的な評価をいえば、普通にまとまってはいるが、それ程の面白みはない、という本か。
良くいえば、特に悪いということはないので、読んでみたければ読んでみても、というところ。
ただし、これなら小室直樹でも読んだ方が面白いのでは、という感じはある。この手のものはもっと面白おかしくできると思うし、一般向けの概略にせず、自分の専門(得意)分野に引き寄せて好き勝手にやった方が、良いものができたのではないだろか。
クリティカルシンキングそのものよりは、どのような場面でクリティカルシンキングを使うべきか、というようなメタレベルの話が多いので、ある程度クリティカルシンキングを知っている人には面白いのかもしれない。
メモ1点。
・ある共同体に現在受け入れられている倫理規範を批判する際には、間違っていると批判する側に立証責任を負わせれば、無駄に懐疑主義に陥ることがないだろう。