『チラシから読み解く! 満足度100%のマンション購入法』

武内修二 著
講談社+α文庫
ISBN4-06-256926-4
マンションの広告に対してぼやいてみました、という本。
元はブログだったということで(別にケンカを売っている訳ではないからリンクは張らないが、はてなだ)、ブログとしてなら確かにそれなりには面白いのだろうけども、一冊の本としては確実に出来は落ちる、という本。
もっといえば、個人的には、本としての体をなしていないと思う。粗悪乱造の見本。というか、編集者仕事しろ、という感じか。あとがきで、担当編集者の名前をあげて謝意を伝えているのは、実は晒しているのだろうか。
問題点を挙げると、ですます体とである体を混用するな、とか、駅から徒歩何分とかの情報がいちいち全部付いているが実際には殆ど無駄、とか、内容の重複や違う箇所で説明されているものがある、とか、全体に説明がかなり中途半端、とか。どういう基準で本書のような配列にしてあるのか、さっぱり分からない。某出版社では編集者の方が偉いのだということを作家に分からせるため最低でも3回は書き直させる、などとまことしやかに囁かれているが、この本の編集者にもそのくらいの気概が欲しいものだ。
つまり良くいえば、3回程は書き直した次回作に期待、ということか。毎日毎日情報が少しずつ積み上げられていくブログ形式なら、これでも良いのかもしれないが、一冊の本としては、当然別のスタイルが与えられてしかるべきであろう。
以下、メモ。
・間取り図に、浴室1418とか書いてあるのは、浴室の内法寸法が1.4m×1.8mであることを示している。
・駅から徒歩何分という場合には、分速80mという公式ルールがあるが(ただし、途中に信号がいくつあっても考慮されない)、バスや自転車の場合は決まったルールがない。
免震構造のマンションには積層ゴム方式が多く使われているが、積層ゴムの耐用年数は60年とされている。積層ゴムを取り替えるとなると、膨大な費用がかかるだろう。
・再開発(建て直し)のマンションの場合、条件の良い部屋は、前のマンションの住人が予め押さえていることも考えられる。
・バルコニーの奥行きは、2m以下ならば延べ床面積に算入されない。それより長いと、延べ床面積に算入されて容積率が押し上げられる。
・実際に測定したデータでは、鉄道の騒音は上の階の方が大きい。
建築基準法で「居室」に必要な窓などの有効採光面積が決まっているので、それ以下の大きさの窓しかない部屋は、サービスルームやDENなどと記されて、広告される。
・「新築住宅」とは、建設工事完了の日から1年を経過していないもの、だと法律で定められている。