『スポーツニュースは恐い 刷り込まれる<日本人>』

森田浩之 著
NHK生活人新書
ISBN978-4-14-088232-0
スポーツニュースが、いかに社会の主流派のイデオロギーを垂れ流しているか、ということについて書かれた本。
内容的にもテーマ的にも、人文系読み物としてありがちといえばありがちな本なので、そういうものが良ければ、読んでみても、という本なのだろうか。
凡夫の中で我一人目覚めている、というような態度があって、私は好きになれる本ではなかったが。国連に加盟していないと書かれている北朝鮮もスイスも国連加盟国だし。
全体的には、ファンの人が読むような本だと思うので、気にならない人ならば、面白く読めるのだろう。
積極的には薦めないが、読んでみたければ読んでみても、という本だと思う。
以下メモ。
・女性アスリートは、愛称で呼ばれ、格下扱いされることが多い。Qちゃんこと高橋尚子選手に人気があったのは、小出監督との関係が、擬似的な父娘関係になぞられたからかもしれない。
・共同体を作る上で欠かせないのは、時間と空間を共有することである。
エドゥアルド・アルチェッティという人は、華麗で創造的というアルゼンチンサッカーのスタイルが、アルゼンチン男性に対して労働や規律より華麗な創造性を尊ぶように影響を与えた、と論じている。
・世界レベルとか世界に挑むとかいわれる時の「世界」は、二項対立としての「日本」がその対極として想定されている。