『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』

梅森直之 編著
光文社新書
ISBN978-4-334-03401-6
ベネディクト・アンダーソンの考えについていくつかのことが書かれた本。
アンダーソンが日本で行った講義に、それに関する編著者の解説的な感想を付け加えたもので、全体的には、エッセイ集、みたいな感じの本ではあるが、大雑把に分かりやすく捉えるなら、ベネディクト・アンダースンのファンブック、という本か。
既にベネディクト・アンダーソンの著作を読んでいる人が、より深く、あるいは広く、その周囲の事情を知るための本。入門とかアンチョコとかとしては期待しない方が良い。
内容というか、編著者のモチーフとしては、ナショナリズムはグローバリゼーションの中から起こったのだから、そこに国際連携の可能性を見出そう、みたいな話ではあるが、現在地球市民アイデンティティとする人が余りいないのと同じように、殆ど自国だけが人々の認識の範囲であった時代にはナショナリズムは生まれようがなく、ナショナリズムとはグローバリゼーションの反動である、とはいえるだろうものの、反動は反動だから、そこに連携の芽があるのかどうかは、私にはよく分からなかった。
そういうもので良ければ、読んでみても、というもの。ファンブックなので、ファンでない私がとやかくいう本でもないだろう。