『イタリア・マフィア』

シルヴィオ・ピエルサンティ 著 朝田今日子 訳
ちくま新書
ISBN978-4-480-06352-6
シチリア・マフィアに関して書かれた本。
内容としては、70年代から90年代初めにかけてのマフィアと司法当局との攻めぎあいを中軸に、その他、マフィアとバチカンやイタリア政治家との癒着等を描いたもの。
やや陰謀史観的な面はあるが、ヤクザについての本が外国で出るとしたらこんなものになるかもしれないという気はするので、こんなものなのかもしれない。積極的に薦める程ではないが、他に良書がないようなら、というところか。
欠点としては、陰謀史観的な面があることの他、イタリア人の名前が多く出てくるので馴染みにくい感じがあること、日本向けに書かれたものなのかイタリアの本の翻訳なのか分からないが、日本の読者向けには若干説明が足りていない部分があること(イタリアの司法制度や憲兵のこととか。コーザノストラが=マフィアのことなのかどうかも、私には分からなかった)。セブン・シスターズの説明も変だが、これは著者が分かっていないのか、それとも、翻訳者が知らなくてこうなったのだろうか(7人の姉妹と訳してあるのは初めて見た)。
全体としては、特に薦める程の本ではないと思う。ただ、イタリアのマフィアについて書かれた日本語の本はそんなに多くはないだろうから、これで仕方がないと思えば、許容範囲ではあるだろう。
積極的に薦めるのではないが、興味があって読んでみたければ読んでみても、という本だと私は考える。