『πの歴史』

ペートル・ベックマン 著 田尾陽一/清水韶光 訳
ちくま学芸文庫
ISBN4-480-08985-3
πの研究史に関して書かれた数学読み物。
それなりには面白いが、特に分かりやすいということもないし(「微分幾何学の教科書に示されているように」などと書かれても分からないとか)、歴史観もエキセントリックで偏狭でやや古い感じがするし、30年以上も昔の本で時代を感じさせる部分も多いので、余り良い本だとはいえないと思う。
そういったもので良いというのなら、つまり簡単でもない偏狭で30年も前の古い本で良いというのなら、読んでみても良いのかもしれないが、普通一般的には、厳しいのではないだろうか。
それをはねのける程の名著だということはないと思う。
無理に、という程ではないだろう。
ちなみに、それでもそれは動く、はガリレオではなくてジョルダーノ・ブルーノの最期の言葉だとされているが、どこまで有力な説なのだろうか。
以下、メモ。
ユークリッドの公理は定規とコンパスを使った作図の具体化であり、従って、ある定理がユークリッドの公理によって証明され得るならば、その定理は、定規とコンパスのみを使って作図できる。定規とコンパスだけでは作図できないものは、ユークリッドの公理によっては証明できない。
・定規とコンパスを使って作図できる直線も円も、代数方程式で現すことができるので、結局、定規とコンパスを使って得られる点の座標は代数方程式の解であり、円と同じ面積の正方形を定規とコンパスで作図できる場合には、必ず、πが、なんらかの代数方程式の解となっている。
代数方程式の解とはならない数、超越数の存在は、1840年に証明されたが、続いて1882年、リンデマンによって、πが超越数であることが証明された。