『白隠 禅画の世界』

芳澤勝弘 著
中公新書
ISBN4-12-101799-4
白隠が描いたいくつかの禅画を訓詁注釈した読み物的な本。
特にこれといったテーマもまとまりもないが、元々は季刊誌『禅文化』に連載したものを一冊にまとめた本、ということで、確かに、そういう雑誌を読む人たち向けの読み物、ではある。
だから、そういう雑誌を読むくらいの強い興味と禅についての前提知識のある人には、それなりには面白い本なのだろう。一般の読者が書評を読んでからおもむろに手を出してみるような本ではないと思う。読んでみたければ読んでみても、というところだが、特に薦める程ではない。
個人的な感想としては、地獄とは心が生み出したものだという第五章は面白かったが、全体的に少し訓詁趣味が強すぎるようには感じた。
メモ1点。
・五山僧によって、菅原道真が唐に渡って参禅したという伝説が創られた。